文芸評論家で書誌学者の谷沢永一に一時期凝ったことがある。「人間通」なる本のタイトルが気に入っての事からだったと思う。
この本「嘘ばっかりで七十年」は、いつか読もうと本棚にはあったのだが、いつしか見当たらなくなっていた。先日宇佐図書館に行ったら、除籍資料のダンボールの中にあり、頂いてきた。
「あとがき」に
人間性を見つめて考える井原西鶴「万の文反故(よろずのふみほご)」の名句
「世の人はかしこきものにて又だましやすく候」を紹介し、
そもそも人間には権力欲がある。その権力欲が最も極端に達してできたのが共産主義権力である、その実態をじっくり知れば知るほど権力本能、権力欲というものの恐ろしさに戦慄せざるを得ない。
二十世紀は世界が一番ひどく共産主義に騙された時代である。本書のテーマは、社会主義共産主義の実態、である。彼らの手口の暴露である。とあるように、冷戦の片方にあった共産主義を、その根底にあった人間性を著者の目で見つめた本である。
なぜその必要があるのかを
・世界を動かしているのは機構でもなく権威でもない。
・世の組織をつくっている一人一人である。
・その人間の根性の奥底には何が潜んでいるか。
・そこを見定める着眼が時代の問題を解く鍵である。
からと、著者は冒頭に記している。